男爵’s eye ~桜庭和志という生き方~
喪失感、虚しさ、淋しさ、やるせなさ…
「桜庭和志という生き方」
確かアローナ戦だよね、このフレーズは。あれ以来の気持ちだろうか。
いや、あの時よりも感じた事は多かった。
昨日、試合を観終えたのは午前1時を過ぎていただろうか。
歯を磨いてすぐに床についたんだけど、中々眠りつく事は出来なかった。
眠気は充分にあったのに、頭の中をいろんな考えや感情がグルグルと廻り続けて私を眠らせてくれなかった。
私は桜庭和志という選手を観る上で、ある時期から自分に嘘をついてきたような気がする。
いや、…気がするというより確実にその思いは心の裏側に持っていたかな。
桜庭和志という幻想を見ながら、同時に桜庭和志という現実を見ていた…。
ここの元祖とも言える「サクを救ってくれ」の中で確か桜援ちゃんだったと思うけど、こういう事を教えてくれた。
「サクの膝はボロボロで既に曲げる事が出来なくなっており、まともに正座が出来ない。」
薄々は判っていた。
私自身、ここにも「膝が悪いからグラウンドでの動きが遅い」というような書き込みをした事もある。
ただ、最近は体調が良さそうだしミドルもガンガン蹴っていたし、サクなら経験値と技術で誤魔化せるレベルだと思っていた。
この気持ちにも嘘はなかったんだ。
GP優勝もありえなくはないと密かに思っていた。
思えば、昔…いつだろうか。もしかするとホイス戦よりも前かも知れない。
松井大二郎へのアドバイスで「テイクダウンした瞬間にパスしなければならない、すぐに動くのが大事なんだ」という事をサクがしつこく言っていたというのを聞いた。
これはサクが直接言ってたのかサクの言葉を高田が紹介してたのかすら憶えていない。
何気ない事なんだけど、なんかずっと記憶に残っていてね。
実はサクのテイクダウン後のノロさを見る度に思い出してはいたんだよね。
最近はテイクダウンしてもすぐに動けないから下から相手にガンガン殴られたりしているよね。
最近の片足タックルを思い出せば、サクは相手の足を掴んで高く持ち上げているよね。
だから、ロープ際でよく足を持ち上げながら殴られてる。
かがんだ状態(膝が曲がった状態)では力が入らないのかなと薄っすら考えてはいた。
プレイボーイと試合した時、下からの腕十字で勝ったんだけど軽くだが八百長疑惑が出たね。
確か灯油ちゃんともそれについて会話をした覚えがある。
なぜ疑惑が出たかというと、それは素人目にみても足に力が入っていなかったから。
プレイボーイが自分で倒れて極められにいったんじゃないかという疑惑だった。
私も、素肌部分を探すのが難しい程ぐるぐるにテーピングされたサクの足の非力さは随分前から感じ取ってはいた。
実は昨日は試合前に「最近でこんなにぐるぐる巻きにしていた事があったかな?」と思っていた。
自身の脳内に押し込めていた不安要素は、試合前にはもう臨界点に達しようとしていたのかも知れない。
サクは負けなかった。
英雄移籍後も勝ち続けていた。
もちろん強豪と言える選手との試合は例外秋山戦を除けば組まれていない。
私は悪質な反則がなければ秋山にも勝ったはずだと信じていた。
アローナやホジェリオに惨敗した事なんて関係ない。
適正体重ではまだまだ追いかけられる立場だ。
カーンでもマヌーフでもバッチコイ!
そう思っていた。そう信じていた。
その心理の裏で積み重なっていく不安要素を実は故意に無視している自分がいた。
ある種の意地である。
しかし、認める認めないに関わらず事実として突きつけられる事がある。
意地もプライドも愛も粉々に吹き飛ばす圧倒的現実を見せつけられる時がある。
それが自分の場合は今回だったようだ。
いつだったか…。2度目にノゲイラを返り討ちにした時か…ミルコを返り討ちにした時か。
「この男もいつかは誰かに敗北するのであろうか?」
当時、自分の脳内では更に上の存在が現れるのを想像する事は出来なかった。
しかし、事実としてヒョードルも歳を重ねてジジイに近づいていくのである。
それは間違いないのである。
数年前、ホイスがマット・ヒューズに何も出来ずに完敗する動画を見た時もある種の喪失感を覚えた。
そのヒューズも先日アウベスという選手に何も出来ずに完敗した。
その前戦はGSPに惨敗を喫している。
時の流れは無情であり、また技術の進化も無情である。
ホイスやヒューズに大した思い入れはないけれど、それでも喪失感は少し味わったかな。
これは格闘技だけのものだけかも知れないね。
若手に抜かれるという寂しさではなく、叩きのめされるという圧倒的喪失感だからね。
ただ、自分は今後見続けていくことにより、これに慣れていくだろうと思う。
だから今回のサクの敗戦ほどの喪失感を味わう事はないだろうね。
まして、いや、なんせ桜庭和志だしね。
でも、ひょっとしたら来月には、皇帝が無様にマットにひれ伏しているかも知れないけどね。
思えば今だ「喪失」していないヒクソンという男は特殊だね。
「桜庭和志という生き方」とはあらゆる意味で真逆の生き方である。
ボロボロのサクとどちらが正しい生き方と言及するつもりは無いけど、この男も実は死に場を失った悲しき老兵なのかも知れない。
桜庭和志のラストチャプターに是非入れて欲しい男だ。
試合内容や結果なんてどうでもいい。
リングで向かい合う時点で、生き様も生き方も全てがきっと交錯するね。
遅かりし…と言われていたカードだけど「今こそ」という思いが私には湧いてきた。
夢の続きの田村戦と合わせて、この2試合は是非組んで欲しいなぁ。
「桜庭和志という生き方」をキツいだろうけど、あと2試合頑張って何とか完結して欲しいね。
少し前オムちゃんの引退勧告に反対したけど、やっと意地を捨てオムちゃんの桜庭愛に追い着いたのかも知れないね。
まあ、ワタスはまだ2試合させる予定ですけどね。
正直な感想として、もう一度マヌーフと試合しても勝つ見込みはあると思う。
まあ確率的に決して高くはないだろうけど。
「次の大会でもイベントの核になってもらうためサクを勝ち上がらせたい。」
主催者がその思いで組んだのなら間違ってはいなかったんじゃないかなぁ。
ただ、ジャガレイらグラップラーには逆立ちしても勝てないと思うね。
昨日の放送でもTKが四の字の足クラッチの有効性について、しつこい程話していたけどやはり寝技には足が重要なんだよね。
事実、昨日のほとんどの試合で激しいガードポジションの攻防があったしね。
そういうPRIDE時代と比べ明らかに高まっている全体的な技術レベルの中での「膝が曲がらない桜庭和志」。
これが正直敗北以上の喪失感だったよ。
昨日の試合の中で完全に認めてしまったんだよね。
投げ出された足を曲げてガードの体勢になれない桜庭和志。
鰐男どころかまともに寝技出来る選手に上になられたら、おそらくすぐパスされてしまうだろう。
なんか上手くまとまらない…まとめようが無いね。
ただ男爵の意地は6月15日にて弾け飛んだけど、本人はどうなんだろうね?
「我が生涯に悔いなし」なんて言葉がVに出てきたけど、桜庭和志は今何を思ってるのだろうか。
それは本人にしか判らないけど、出来れば今まで「桜庭和志」を散々利用し使い潰してきた主催者側が桜庭和志にふさわしい最後を考え用意している事を願うのみだね。
「サクを救ってくれ」
かつて、たけちゃんがそんな言葉を使い公式サイトで熱い思いをぶつけて、多くの賛同を得た訳だけど、果たして桜庭和志は救われたのだろうか?
本当に悔いはないんだろうか?
あの34のリング上のようにサクが感動し涙する。
桜庭和志最後の日にはそういう空間を出来上がればいいのになあ。
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コメント
ハチちゃんや。
長文お疲れ。
うーん、痛いほどよく判るよ。
俺も、昨夜から事あるごとにサクのことを考えている。
俺はさ、シウバに3度負けたときも、アローナに顔面を破壊されたときも、試合の1欠片に希望があったんだよ。
「パワーで負けてなかった。」
とか、
「パンチのスピードと切れはサクのほうがあった。」
とか。
だから、「もう一丁やったときは判らん。」と言い聞かせてた俺がいたんだ。
体調さえ良ければ、サクはシウバやアローナにも引けを取らない実力があると。
だが、今回の試合を観たあと、全くそういう感情が湧かなかった。
真っ白な気持ちで観ていたが、只「ああああ」という言葉しか出なかった。
笑みを浮かべながらリングを引き上げるサクを観たとき、本当に、
「もう止めてくれ。」
と感じたんだ。
「これ以上、無様なサクを観たくない。」
と言うのが偽らざる気持ちだよ。
俺は、「桜庭VS田村」を夢のカードだと思っていたが、その試合にも今は興味が無い。
全く無い。
残酷な現実を真正面から受け止めて、ゆっくりと体を休ませてほしい。
こんな引退の仕方も「桜庭和志」らしい、男の散り際だと思う。
俺達、格闘技バカを燃え上がらせてくれた、「真の勇者」に相応しい最後だよ。
最後に、俺が勝手に考えたサクのセレモニー。
いつものように派手に入場する。
リングでコールされたサクが、リング上で、観客やPPV視聴者と一緒に、稀代の天才 佐藤大輔 渾身の「桜庭和志 超長編煽り映像」を鑑賞する。
最後に10カウント。
高田・田村・シウバに見送られて退場。
俺は号泣するだろう。
最後にハチちゃんや。
お主の感受性に惚れ惚れするよ。
最高の書き込み 感謝する。
これでこそ、防空壕。
投稿 オムライス | 2008年6月17日 (火) 00時23分
いやぁ、オムちゃん。
全く相変わらず誉め上手だなあ。
どこかで、崇高なダジャレイがどうだとか因縁を付けてきた男と同一人物とは思えないよ。
10カウントもいいねぇ。
古いやり方だけどサクには似合うと思う。
長編煽りVか。
「ドキュメンタリー桜庭和志」もいいかも知れないね。
PRIDEを、MMAを2段階ぐらいメジャーに押し上げた男だからねぇ。
ただオレはやっぱり引退試合はして欲しいね。
相手はやっぱり田村かな。
田村に介錯されるのはサクのプライドが許さないだろうから、サクの最後の勝負論を全て出し尽くす大一番になると思う。
引退試合するにしてもセレモニーにしても、そこに高田延彦だけは絶対に必要だね。
リング上で抱擁する二人を想像するだけで胸に熱いものがこみ上げてくるよ。
防空壕が出来て、皆とこうやって語り合えるだけでも、サクには感謝の気持ちでいっぱいだよ。
オムちゃん、読んでくれてありがとうね。
ホジャーの!
投稿 ハチ男爵という生き方 | 2008年6月17日 (火) 08時41分
そうかぁ。
ハチちゃんは、
なんだかんだどうやらこうやらあれやかれやで、
結局薬局、桜庭ファンなんだな。
熱い思いが無ければここまでマシンガン記事は書けないよ。
オムちゃんもテトラポトラ、ケセランパセラン、アイアイサーなんだよな。
俺はハイデ、ハイデ、ハイデ、ハイデホー、ローレンローレンローレンだよ。
いや、マジに仕方ないと思いつつも現実の厳しさを感じたよ。
桜庭は「わが人生に悔いは無し」なんて持ち出してたから、
玉砕覚悟だったんだろうな。
ご両人の桜庭エピローグだが、俺は双方足したのを希望するよ。
しかし、引退式で、佐藤氏惜別のVTRはいいね。
多分やるだろうな。
熱いものがこみ上げるの必死だろう。
テレビの前なら号泣しそうだよな。
さて、感染記はまた後日に、記するとするよ。
スポナビで、新記事じゃなく前記事の追記にしようと思ってるよ。
じゃあたま
投稿 灯油 | 2008年6月17日 (火) 19時55分
や、ハチちゃん。
コメント遅くなってすまないね。
素晴らしいサク愛だよ。
ちょっと感動しちゃったじゃがれい。
本文とはあまり関係無いけど
実は最近サクの入場に飽きていたんだよね。
ん?飽きてきたとはちょっと違うかな。
慣れてしまったが正しいかも。
入場を観てワクワクしないんだよ。
34でのサプライズ登場ではあんなに高揚したのに。
皆にはしかめっ面されるかもオモプが
それが正直な私の今現在での印象です。
でも思うのは関節や絞め技でサクがタップするまでは辞める必要もないし、しがみ付いていても良いとオモプ。
らった。
投稿 俺の叔父 | 2008年6月19日 (木) 23時28分
やあ、ご両人。
コメントありがトーノフ!
3日ほど前にスポナビの格闘技ページを見てたんだけど、今のスポナビは一般のブログもリンクを貼ってるんだね。
最近あまり見てなかったから知らなかったよ。
下の方に「桜庭のリアル~」なんて題名があったから読んでみようと思ってクリックしてみたんだけど、それがこのブログである。(ハチ参照)
下にスクロールしていくと、なんとぉ!!!
観戦記紹介のそうそうたる格闘技ブログの中に「男爵's eye」の文字が!!!
いやはや、観ている人はいるんだなぁ。
検索に引っ掛かったのか、ちょくちょく観てくれているのかは謎だけど、さわやか日記やスポナビブログを離れてから随分経つし、少々油断していたよ。
地下感覚が染み付いているけど、ネットは開かれた世界でもある訳だし、ある程度見られている事を意識しておかなくちゃね。
しかし、偶然の発見にしばし絶句したよ。
ここにも、たまに迷い込んでコメントくれる人はいたけど、まさかリンク貼って紹介されるとは思ってなかったからね。
まあ、そういう訳で皆も発言には気をつけんといかんぞ。フォフォフォ。
灯油ちゃんも号泣宣言かい。
サクの引退は軽く妄想しただけで胸にくるものがあるね。
号泣というものは、成人してからは経験がないけどワタスも充分ありえるよ。
叔父ちゃんはサクに対してはちょっと冷めぎみかな?
判るよ。皆それぞれ線引きのタイミングがあるもんね。
ワタスの場合はそれが今回だったから、今後またサクがプレイボーイみたいな選手と試合を続けていっても、冷めた目で見るだろうね。
引退に向かうのか向かわないのかはともかく、今後は主催者も本人も意味のある相手を厳選していって欲しいね。
ホジャーの!
投稿 ハチ男爵 | 2008年6月21日 (土) 22時19分